アイドルパロ-1 MIL

品行方正な好青年の無垢(むく)は、いつものように充実した高校生活を送っていた。 休み時間に友人と談笑していたところ、顔を真っ青にした担任が教室に駆け込み、 突然無垢を怒鳴りつけて拘束する。その直後、軍服の男達が教室に押し入り 「通報により貴様を再教育する」 と言い放つが、身に覚えのない無垢は、荒々しく拘束して連行しようとする軍服に対し、咄嗟に手をあげてしまう。 無垢は、この国の絶対的な組織"教育機関"に反抗したとみなされ、そのまま強制的に連行されてしまう。

施設に連行された無垢は、看守の座久呂(ざくろ)に再度自身の違反内容を問うが、座久呂は 「これから行う罰が君の罪だ。自分自身で罪に気づき悔い改めなければ、ここから出すことはできない」 とにこやかに話す。その後、座久呂から厳しい"教育"を受けながら自身の罪を省みるが、全く見当がつかず、"教育"は無垢の人間としての尊厳を奪っていく。

数年後、すっかり荒んでしまった無垢の前にかつての同級生であり親友の金色(こんじき)が看守として現れる。 金色は、無垢のことなど忘れてしまったかのように冷たい態度を取り、怪しげな薬剤を注射器に取って無垢に打ち込もとする。 無垢が絶望して脱力していると、金色は座久呂の目を盗み、無垢に耳打ちする。 「安心して。これはただの栄養剤だから。…でも、奴が来たらちゃんと演技するんだよ?俺が無垢の担当看守になって"教育"し直してあげるから、それまで耐えるんだ」

無垢は、金色に加え、他の看守も自身の味方につけて罪を探るが、ついに自身には何の罪もなく、座久呂の歪んだ愛情による 身勝手な"教育"であることに気づく。施設からの脱出を画策した無垢は、看守達の協力の元、なんとか脱出して外の人間に助けを求めるが、 出会う人は皆、助けるどころか無垢を捕まようと追いかけてくる。無垢は、多大な権力を持つ座久呂により、全国で指名手配されていることを知る。
人通りの少ない高架下で途方に暮れていると、毛玉の男、玉藻(たまも)が無垢に話しかける。 「俺の家で何しとんねん」

無垢が玉藻に必死に助けを求めると、渋りながらも高架下に隠されていた秘密基地に案内され、玉藻もかつて教育機関からの"教育"を受け、 未修のまま外に出てきた元教育対象であることを告げられる。 偶然にも、玉藻も座久呂に対する"無念"があると知り、利害が一致した2人は座久呂の悪事を摘発しようとある計画を企てる。

「ほな、いっちょ殴り込みに行こかぁ!」

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